<2018年7月31日更新>
フコイダンの効果・副作用の研究成果
フコイダンとは? | 昆布、メカブやモズクなどの海草類には表面に「ぬめり」がありますが、この「ぬめり」成分に多く含まれる硫酸多糖の一種を総称してフコイダンと呼びます。 フコイダンの有用成分に関する報告は、疲労回復作用の報告はあるものの、国際データベースでは乏しいようです。 |
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フコイダンに関するヒト臨床研究情報まとめ
■国際データベースのヒト論文掲載(PubMed)
掲載件数※ | 癌への免疫力を高める作用 | 癌の免疫抑制を軽減する作用 | 癌闘病時の体力回復作用 | 抗がん剤に近い作用 | 効果がなかった | 副作用があった |
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4件 | × |
× |
★ |
× |
なし | なし |
※2000年以降、ヒト臨床研究論文の件数
(効果がなかったという報告の論文は除く)
- お好きなところからお読みください
- フコイダンの
1.がんに関するヒト臨床研究情報
ヒト臨床試験とは、健康食品やサプリメントなどについて、その有用性や安全性を科学的かつ客観的に示すためのエビデンス(科学的根拠)を取得するために、ヒト(人間)を対象に行う試験のことです。
■フコイダン関連のヒト臨床研究報告<要約>
タイトル・文献・PubMed№ | 解説 | 信頼度 |
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乳がん患者におけるレトロゾール、タモキシフェンとフコイダンの相互作用 2018年 Integr Cancer Ther.誌 <PubMed №28008779:英文はコチラ> |
オーストラリアで、レトロゾールあるいはタモキシフェンを服用中の乳がん患者に、フコイダンを同時投与すると、レトロゾールあるいはタモキシフェンの定常状態血漿濃度に有意な変化は認められず、フコイダンの副作用も認められなかったとの報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
★ |
進行がん患者のQOLとフコイダンの抗炎症作用に関する予備的研究 2017年 Integr Cancer Ther.誌 <PubMed №28627320:英文はコチラ> |
日本で、進行がん患者が、フコイダンを摂取すると、主要な炎症性サイトカインが2週間後に有意に減少し、疲労を含むQOLスコアは試験期間中に有意な変化はなくほぼ安定していたという報告です <日本語詳細はコチラ> |
★ |
転移性大腸がん患者における補足療法としてのフコイダンの効果 2017年 Mar Drugs.誌 <PubMed №28430159:英文はコチラ> |
台湾で、転移性大腸がん患者が、標的化学療法剤とフコイダンを併用すると、疾患制御率が有意に改善したという報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
★★★ |
切除不能な進行性または再発性の大腸がん患者の化学療法の毒性を軽減するフコイダンの効果 2011年 Oncol Lett.誌 <PubMed №22866084:英文はコチラ> |
日本で、切除不能な進行性または再発性の大腸がん患者が、化学療法に併用してフコイダンを摂取すると、化学療法中の疲労発生を制御することを示す結果が得られたとの報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
★ |
■フコイダン関連の研究ニュース
タイトル・内容(発行日、紙面名) | 解説 |
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免疫の状態をよくすることでがんの闘病を支える補完代替医療に期待の臨床研究の紹介記事 (2016/1/30 がんの先進医療) フコイダンががん治療を終えた患者の免疫活性に関する紹介記事が掲載>> |
記事によると、シイタケ菌糸体をさまざまながん種の患者が摂取した結果、QOLを改善することが確認されたこと、またガゴメ昆布フコイダンを抗がん剤治療を終えた患者が摂取した結果、NK活性が低い人に限ると、NK活性が有意に向上するとのこと。 |
進行癌患者における低分子フコイダンの抗炎症作用の研究の学会発表 (2015/12/3 日本バイオセラピィ学会) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
学会演題情報によると、日本バイオセラピィ学会において、進行がん患者における低分子フコイダン(LMF)の抗炎症作用に関する探索的検討が報告されたとのこと。 |
進行癌患者における低分子フコイダンによる抗炎症作用の研究の学会発表 (2015/10/8 日本癌学会) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
学会演題情報によると、日本癌学会において、進行がん患者における低分子フコイダンの抗炎症作用に関する探索的検討が報告されたとのこと。 |
フコイダン 制がん剤副作用を抑制 鳥大・池口教授と海産物のきむらや 米国で特許取得 (2015/4/29 共同通信(日本海新聞)) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、鳥取大医学部の池口正英教授(病態制御外科学分野)と、水産加工販売の海産物のきむらやの共同研究グループは、海藻に含まれるフコイダンに制がん剤の副作用を抑える効果があることを立証し、米国で特許を取得したと発表。大腸がん患者による臨床試験で、制がん剤治療を受ける患者の倦怠(けんたい)感を抑える効果があったとのこと。 |
■フコイダンの主要研究企業
研究企業名 | 研究内容 |
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タカラバイオ株式会社 |
・遺伝子工学関連の試薬・サービス販売を主とする ・機能性成分の製造販売も手がけている 研究成果:「タカラバイオ研究データ情報>>」で報告されている。 |
2.がんに関する動物研究情報<要約>
動物試験とは、医学研究などのために、ネズミ・モルモット・ウサギ・イヌ・ネコなどの小動物を用いて行う試験のことです。
この試験は、ヒト臨床試験を科学的かつ倫理的に適正に行うために必要な科学的知見を、事前に収集するために行っています。
■フコイダン関連の動物研究報告<要約>
タイトル・文献・PubMed№ | 解説 |
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がん治療への使用のための安全性の前臨床評価 2017年Integr Cancer Ther. 誌 <PubMed №29096568:英文はコチラ> |
細胞レベルの試験で、体内で薬物代謝を担うP450に対しての影響はなく、化学療法など薬剤に対する影響は少ないことを示唆した報告です。また、動物レベルの試験で 一部のがん種の細胞の増殖をフコイダンが抑えることを示唆した報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
腫瘍進行の抑制効果と副作用抑制効果 2017年 Sci Rep. 誌 <PubMed №28928376:英文はコチラ> |
台湾で、ヒト大腸がん細胞を用いてフコイダンの効果を調べたところ、p53がフコイダンによる腫瘍進行の効果的な阻害を可能にし、またフコイダンが化学療法の副作用を最小限に抑え、腫瘍微小環境を変化させることを明らかにしたという報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
乳がんに対する抗がん作用とメカニズム 2017年 Biomed Pharmacother.誌 <PubMed №28810530:英文はコチラ> |
台湾で、フコイダンがヒト乳がん細胞およびラットで抗腫瘍作用を示唆し、またそれらのメカニズムを解明したという報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
マウスでのPC12細胞における神経毒性と、認知機能障害に対する保護効果 2017年 Mar Drugs.誌 <PubMed №28300775:英文はコチラ> |
中国で、フコイダンがマウスにおいてPC12細胞をアポトーシスから守るとともに、アルツハイマー病モデルマウスにおいて学習および記憶障害を改善することを示唆したという報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
抗炎症効果と抗菌効果 2017年 Int Immunopharmacol. 誌 <PubMed №27987467:英文はコチラ> |
韓国で、フコイダンがin vitroおよびin vivoで抗炎症効果を、in vivoでは限定的な抗菌効果を発揮するとの結論に至ったとの報告です。 <日本語詳細はコチラ> |
■フコイダンの主要研究企業
研究企業名 | 研究内容 |
---|---|
タカラバイオ株式会社 |
・遺伝子工学関連の試薬・サービス販売を主とする ・機能性成分の製造販売も手がけている 研究成果:「タカラバイオ研究データ情報>>」で報告されている。 |
3.その他、参考情報
フコイダンに関連したヒト臨床研究以外の研究ニュースとして、がん専門誌、新聞に掲載された最新記事をご紹介します。
■フコイダン関連の研究ニュース
タイトル・内容(発行日、紙面名) | 解説 |
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境港でセミナー「フコイダン」研究成果紹介 (2016/9/24 共同通信(日本海新聞)) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、「産学連携による健康食品の機能性研究」をテーマにしたセミナー(鳥取大、鳥取銀行主催)が、境港市渡町の海産物のきむらやで開かれ、同社が鳥取大などと連携して取り組む機能性物質「フコイダン」に関する研究成果を紹介。これまでの研究で抗がん作用や抗がん剤の副作用軽減、アルコール飲料の風味改善などフコイダンにさまざまな効用があることが分かり、サプリメントなどとして商品化するとともに、iPS細胞の培養研究にも取り組んでいるとのこと。 |
「がん細胞消滅」 高額な健康食品、無許可販売容疑で逮捕 (2014/10/1 朝日新聞 朝刊) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、医療品販売の許可を得ず、がんに効くなどとして健康食品を売ったとして、健康食品販売会社の社長を薬事法違反(無許可医薬品販売など)の容疑で逮捕。「がん細胞を消滅させる」と記載された「パーフェクトフコイダン」14個を計約52万円で販売した疑いとのこと。 |
フコイダンのインフルエンザ予防に関する記事 (2010/10/02 大阪読売新聞) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、タカラバイオと富山大学がフコイダンに、インフルエンザウイルスを予防する効果があることをマウスで確認したとのこと |
がん治療にフコイダン (2009/12/16 共同通信(沖縄タイムス)) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、モズクなどの海藻に含まれる「フコイダン」をがん治療に取り入れている天願勇・統合医療センタークリニックぎのわん院長が、那覇市ぶんかテンブス館で講演。「がん治療の鍵」と題し、患者の生活の質を落とさない療法の重要性や、低分子フコイダンの飲用で免疫力が高まる事例を紹介。低分子フコイダンの効果として、(1)がん細胞のみを自然死に導くアポトーシス誘導(2)がん細胞の栄養補給血管新生の抑制(3)免疫力増強-を上げ、「がん細胞に栄養がいかぬようブロックする働きがある。がん細胞は縮小、または大きくならない」とのこと。 |
モズクフコイダンの抗癌剤副作用抑制作用に関する記事 (2007/12/16 産経新聞) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、海産物のきむらやが鳥取大学と共同で発見した、モズク由来フコイダンの抗癌剤副作用軽減作用について特許出願したとのこと。 |
低分子フコイダン療法検討会開催に関する記事 (2007/08/24 産経新聞) 記事・関連情報のリンクはありません。 |
記事によると、NPO法人「統合医療と健康を考える会」による低分子フコイダン療法検討会でのフコイダンに関する報告会をおこなったとのこと。 |
■フコイダンの関連サイトのリンク
リンク先 | 掲載内容 |
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独立行政法人 国立健康・栄養研究所>> | 「フコイダン」の素材情報に、安全性・有用性の情報あります。 |
ウィキペディア(インターネット上の百科事典) | フコイダン>> |
4.がんに関するヒト臨床研究情報<詳細>
ヒト臨床試験とは、健康食品やサプリメントなどについて、その有用性や安全性を科学的かつ客観的に示すためのエビデンス(科学的根拠)を取得するために、ヒト(人間)を対象に行う試験のことです。
■フコイダン関連のヒト臨床研究報告<詳細>
タイトル・文献・PubMed№ | 解説 | 信頼度 |
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乳がん患者におけるレトロゾール、タモキシフェンとフコイダンの相互作用 2018年 Integr Cancer Ther.誌 <PubMed №28008779:英文はコチラ> 執筆者: Tocaciu S Royal Hobart Hospital, Hobart, Tasmania, Australia. Oliver LJ Royal Hobart Hospital, Hobart, Tasmania, Australia. Lowenthal RM University of Tasmania, Hobart, Tasmania, Australia. Peterson GM University of Tasmania, Hobart, Tasmania, Australia. Patel R University of Tasmania, Hobart, Tasmania, Australia. Shastri M University of Tasmania, Hobart, Tasmania, Australia. McGuinness G University of Tasmania, Hobart, Tasmania, Australia. Olesen I Andrew Love Cancer Centre, Barwon Health, Geelong, Victoria, Australia. Fitton JH Marinova Pty Ltd, Cambridge, Tasmania, Australia. |
背景: 補完代替医療ががん患者の間で広まっているが、その利点の臨床的証拠はわずかである。さらに、抗がん治療との併用は安全であると広く考えられているものの、相互作用の可能性を調べる研究はほとんど行われてこなかった。フコイダンは、海洋褐藻から得られる硫酸化多糖の一種で、抗がん作用をはじめとする薬効が報告されているため、長年にわたって栄養補助食品として使用されてきた。本研究の目的は、乳がん患者において広く使用されている2つのホルモン療法薬(レトロゾールとタモキシフェン)の薬物動態に対するわかめ由来フコイダンの同時投与の効果を調べることであった。 方法: 本試験はレトロゾールあるいはタモキシフェンを服用中の活動性悪性腫瘍患者を対象にしたオープンラベル非交差試験であった(各群n=10)。患者はフコイダンをMaritech抽出物の形で3週間(500mgを1日2回)経口服用した。ベースライン時およびフコイダンの同時投与後に、レトロゾール、タモキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、エンドキシフェンの血漿トラフ濃度をHPLC-CAD(コロナ荷電化粒子検出器付高速液体クロマトグラフ)を用いて測定した。 結果: フコイダンとの同時投与後のレトロゾール、タモキシフェン、タモキシフェン代謝産物の定常状態血漿濃度に有意な変化は認められなかった。さらに、フコイダンの副作用は報告されておらず、毒性モニタリングでは、試験期間中に測定されたパラメータすべてに有意な相違はみられなかった。 結論: ワカメフコイダンの投与は、レトロゾールあるいはタモキシフェンの定常状態トラフ濃度に有意な影響はなく、忍容性は良好であった。これらの結果は、本研究で使用した形態および用量のフコイダンを臨床的に有意な相互作用のリスクなく、レトロゾールおよびタモキシフェンと同時併用しうることを示唆する。 |
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進行がん患者のQOLとフコイダンの抗炎症作用に関する予備的研究 2017年 Integr Cancer Ther.誌 <PubMed №28627320:英文はコチラ> 執筆者: Takahashi H University of the Ryukyus Hospital, Nakagami-gun, Okinawa, Japan. Seren Clinic Fukuoka, Fukuoka, Japan. Clinic Ginowan, Ginowan-shi, Okinawa, Japan. Kawaguchi M Kawaguchi Medical Clinic, Okayama-shi, Okayama, Japan. Kitamura K Kitamura Clinic, Onojo-shi, Fukuoka, Japan. Narumiya S Dojima Liga Clinic, Fukushima-ku, Osaka, Japan. Kawamura M Kyowa Hospital, Kobe-shi, Hyogo, Japan. Tengan I Clinic Ginowan, Ginowan-shi, Okinawa, Japan. Nishimoto S Nishimoto Clinic, Wakayama-shi, Wakayama, Japan. Hanamure Y Hanamure Hospital, Ichikikushikino-shi, Kagoshima, Japan. Majima Y Majima Digestive Organ Clinic, Kurume-shi, Fukuoka, Japan. Tsubura S Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Hamaura-cho, Chuo-ku, Niigata, Japan. Teruya K Kyushu University, Higashi-ku, Fukuoka, Japan. Shirahata S Kyushu University, Higashi-ku, Fukuoka, Japan. |
背景: 従来の抗がん療法では依然として がん細胞の選択的な根絶は難しく、また患者の生活の質(QOL)を低下させる副作用の併発という困難が伴う。海草から抽出されたフコイダンが抗がんおよび抗炎症特性をはじめとする広範な生物活性を有することは基礎研究ですでに示されている。がん患者で治療効果を高め、副作用を最小限に抑えることが期待されている。しかし、その秘められた効用にもかかわらず、フコイダンを使用した臨床試験はほとんどない。そこで、フコイダンの有効性、特にQOLスコアと関連する炎症に焦点を当てて調べるため進行がん患者に対する探索的臨床研究を行った。 方法: 進行がん患者を対象にフコイダンの経口投与による前向きオープンラベル臨床試験を実施した。転移のある進行がん患者20名を募集し、フコイダン400mL/d(10mg/mL)を少なくとも4週間投与した。高感度CRPおよび種々のサイトカインなどの炎症バイオマーカーおよびQOLスコアを投与前、フコイダン摂取2週間後および4週間後に観察した。 結果: インターロイキン-1β(IL-1β)、IL-6、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)をはじめとする主要な炎症性サイトカインは、フコイダン摂取の2週間後に有意に減少した。疲労を含むQOLスコアは、試験期間中に有意な変化はなくほぼ安定していた。単変量および多変量解析により、IL-1βの応答性は重要な独立予後因子であることが明らかにされた。 結論: 本試験は進行がん患者に対するフコイダンの抗炎症効果の証拠を提示する初の研究である。今後は、がん患者、特に化学療法を受けている患者の支持療法としてのフコイダンの有効性を確立するため、より規模の大きい盲検比較対照試験が必要である |
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転移性大腸がん患者における補足療法としてのフコイダンの効果 2017年 Mar Drugs.誌 <PubMed №28430159:英文はコチラ> 執筆者: Tsai HL Division of Colorectal Surgery, Department of Surgery, Kaohsiung Medical University Hospital, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Department of Surgery, Faculty of Medicine, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Tai CJ Graduate Institute of Natural Product, College of Pharmacy, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Department of Family Medicine, Pingtung Hospital, Ministry of Health and Welfare, Pingtung 928, Taiwan. Huang CW Division of Colorectal Surgery, Department of Surgery, Kaohsiung Medical University Hospital, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Department of Surgery, Faculty of Medicine, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Chang FR Graduate Institute of Natural Product, College of Pharmacy, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Wang JY Division of Colorectal Surgery, Department of Surgery, Kaohsiung Medical University Hospital, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Department of Surgery, Faculty of Medicine, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Graduate Institute of Clinical Medicine, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Center for Biomarkers and Biotech Drugs, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Research Center for Environmental Medicine, College of Medicine, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. Research Center for Natural Products & Drug Development, Kaohsiung Medical University, Kaohsiung 807, Taiwan. |
背景: 低分子フコイダン(LMF)はがん患者の保健食品として広く使用されている。しかし、研究のすべてはインビトロまたはマウスを用いて行われた。したがって、LMFの使用に関する強力な臨床的証拠は比較的少ない。本研究は、転移性大腸がん(mCRC)患者における標的化学療法剤の補足療法としてのLMFの有効性を評価することを目的とした。 方法: 転移性大腸がん(mCRC)患者に対する標的化学療法剤の補足療法としてのLMFの有効性を評価するため二重盲検無作為化比較対象前向き試験を行った。適格mCRC患者60名が含まれた。最終的に54名の患者が参加し、うち28名を実験群、26名を対照群とした。主要評価項目は疾患制御率(DCR)で、副次評価項目は全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副作用(AE)、生活の質(QOL)であった。 結果: 実験群および対照群のDCRはそれぞれ92.8%と69.2%であり(p=0.026)、追跡期間中央値は11.5ヶ月であった。OS、PFS、ORR、AE、QOLには両群間で有意差を認めなかった。 結論: 本研究は、mCRC患者の管理における補足療法としてのLMFの有効性を評価した初の臨床試験である。本研究結果は、標的化学療法剤とLMFの併用がDCRを有意に改善したことを示している |
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切除不能な進行性または再発性の大腸がん患者の化学療法の毒性を軽減するフコイダンの効果 2011年 Oncol Lett.誌 <PubMed №22866084:英文はコチラ> 執筆者: Ikeguchi M Department of Surgery, Division of Surgical Oncology, Faculty of Medicine, Tottori University, Yonago 683-8504. Yamamoto M Arai Y Maeta Y Ashida K Katano K Miki Y Kimura T |
オキサリプラチンと 5-フルオロウラシル/ロイコボリン(FOLFOX)、またはイリノテカンと 5-フルオロウラシル/ロイコボリン(FOLFIRI)を併用する化学療法は、進行性あるいは再発性大腸がんの標準治療となっている。FOLFOXまたはFOLFIRIの長期使用がこうした患者の生存率を向上させるという研究報告は数多くある。従って、これらの薬剤の毒性を制御することは、生存期間延長にきわめて重要であろう。フコイダンは、褐藻類の主要な硫酸化多糖類の1つであり、幅広い生物学的活性を示す。本研究では、抗がん剤の毒性抑制に対するフコイダンの効果を分析した。FOLFOXまたはFOLFIRIによる治療を受ける予定の切除不能な進行または再発大腸がん患者20名を、フコイダン治療群(n=10)とフコイダン治療なしの対照群(n=10)に無作為に振り分けた。フコイダンが化学療法中の疲労発生を制御することを示す結果が得られた。フコイダン併用の化学療法は非併用化学療法よりも長期間継続された。さらに、フコイダン治療群の患者の生存期間はフコイダン非使用群よりも長かったが、有意差は認められなかった。このことから、フコイダンは切除不能な進行または再発大腸がん患者に対する化学療法薬の連続投与を可能にし、その結果、そうした患者の予後が延長するとみられる。 |
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5.がんに関する動物研究情報<詳細>
動物試験とは、医学研究などのために、ネズミ・モルモット・ウサギ・イヌ・ネコなどの小動物を用いて行う試験のことです。
この試験は、ヒト臨床試験を科学的かつ倫理的に適正に行うために必要な科学的知見を、事前に収集するために行っています。
■フコイダン関連の動物研究報告<詳細>
タイトル・文献・PubMed№ | 解説 |
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がん治療への使用のための安全性の前臨床評価 2017年Integr Cancer Ther. 誌 <PubMed №29096568:英文はコチラ> 執筆者: Mathew L University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. Burney M University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. Gaikwad A University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. Nyshadham P University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. Nugent EK University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. UTHealth-Memorial Hermann Cancer Center-TMC, Houston, TX, USA. Gonzalez A University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. UTHealth-Memorial Hermann Cancer Center-TMC, Houston, TX, USA. Smith JA University of Texas Health Science Center Medical School at Houston, TX, USA. UTHealth-Memorial Hermann Cancer Center-TMC, Houston, TX, USA. |
目的: 肝代謝媒介薬物とワカメ(UPF)またはコンブ(FVF)由来のフコイダンとの相互作用の可能性およびフコイダンの単独使用または化学療法との併用による増殖阻害作用の潜在性を評価すること。安全性の確認とフコイダン媒介免疫調節を調べるためにin vivo研究を実施した。 方法: シトクロムP450(CYP450)3A4、2C8、2C9、2D6の阻害実験をin vitroで実施し、続いて生体外ヒト肝細胞モデルを用いて、最大理論濃度での各フコイダンのCYP450誘導電位を評価した。グルタチオンS転移酵素(GST)、キノン酸化還元酵素(QOR)、カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)、ウリジン二リン酸(UDP)グルクロン酸転移酵素(UGT)の4つの肝代謝第II相経路を検証済みのイムノアッセイで評価した。ヒトがん細胞株パネルにおいて、各フコイダンについて単独使用および化学療法剤との併用時の成長阻害アッセイを行った。in vivo研究では安全性と免疫調節を評価した。 結果: FVFでCYP450阻害が観察された。GST、QOR、UGT経路には変化は認められなかった。 UPFおよびFVFはいずれもCOMTと相互作用を起こした。がん細胞株における増殖阻害活性は認められなかった。UPFおよびFVFは、パクリタキセルまたはタモキシフェンとの相乗活性およびトポテカンとの相加作用を有した。in vivoで、FVFはHeLaヒト子宮頸部腫瘍増殖を減少させ、FVFとUPFはともにTOV-112Dヒト卵巣腫瘍増殖を減少させた。これ以外に、腫瘍増殖における有意な変化は観察されなかった。FVFによるIgGおよびIL-6の免疫調節が観察された(p <0.03)。 結論: 高用量では、UPFおよびFVFがCYP450またはCOMT肝代謝経路のいずれかで薬物―サプリメント間の相互作用を有する可能性は低いようである。化学療法と併用したフコイダンに関する研究結果を確認するためにさらなる研究が必要である。 |
腫瘍進行の抑制効果と副作用抑制効果 2017年 Sci Rep. 誌 <PubMed №28928376:英文はコチラ> 執筆者: Chen LM Institute of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwan. Liu PY Institute of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwan. Chen YA Institute of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwan. Tseng HY Institute of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwan. Shen PC Institute of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwan. Hwang PA Department of Bioscience and Biotechnology, National Taiwan Ocean University, Keelung, Taiwan. Hsu HL Institute of Molecular and Genomic Medicine, National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwan. |
低分子フコイダンは、様々な生物学的作用を有する硫酸化多糖類の1種であり、有益な健康作用を有することも示されている。しかし、がん患者における低分子フコイダンの治療効果の根底にある分子メカニズムは依然解明されていない。われわれは、正常なp53発現を伴う(p53+/+)または伴わない(p53-/-)ヒト大腸がんHCT116細胞を用いて、低分子フコイダンによる治療はDNA損傷の自然発生を減少させることを発見した。エトポシドは二本鎖DNA切断を誘導する。エトポシド処理細胞へのその後の低分子フコイダンの投与は、p53の蓄積とp21発現の促進だけでなく、毛細血管拡張性運動失調症(ATM)およびp53-/-細胞と比較してp53+/+細胞内のチェックポイントキナーゼ1(Chk1)とγ-H2AXのリン酸化の大幅な減少を促進させる。同様に、低分子フコイダンとエトポシドとの同時投与は、特にp53の存在下で、ATM、Chk1、γ-H2AXのリン酸化を阻害する。さらに、低分子フコイダンの補充はがん細胞死を増加させるとともに、炎症性サイトカインIL-6とケモカインCCL2/MCP-1の産生を減少させるエトポシドで誘発される副作用を減じる。重要なのは、低分子フコイダンは微小環境において腫瘍促進M2マクロファージを減少させるとともに、p53と連携し、エトポシドとともに働いてHCT116の腫瘍形成を防止することである。本試験の結果は、p53が低分子フコイダンによる腫瘍進行の効果的な阻害を可能にし、低分子フコイダンが化学療法の副作用を最小限に抑え、腫瘍微小環境を変化させることを明らかにした。 |
乳がんに対する抗がん作用とメカニズム 2017年 Biomed Pharmacother.誌 <PubMed №28810530:英文はコチラ> 執筆者: Xue M Department of Biochemistry and Molecular Biology, Basic Medical College, Qingdao University of Medicine, 38 Dengzhou Road, Qingdao, 266021, PR China. Ji X Department of Gynaecology, The Affiliated Hospital of Qingdao University, PR China. Xue C Master of economics, Qingdao Haixi City Development Ltd, PR China. Liang H The Institute of Human Nutrition, Qingdao University of Medicine, PR China. Ge Y Department of Biochemistry and Molecular Biology, Basic Medical College, Qingdao University of Medicine, 38 Dengzhou Road, Qingdao, 266021, PR China. He X Master of medicine, Oncology Department, The Affiliated Hospital of Qingdao University, PR China. Zhang L Department of Immunology, Basic Medical College, Qingdao University of Medicine, PR China. Bian K Department of Biochemistry and Molecular Biology, Basic Medical College, Qingdao University of Medicine, 38 Dengzhou Road, Qingdao, 266021, PR China; Medical undergraduate, Qingdao University of Medicine, PR China. Zhang LDepartment of Biochemistry and Molecular Biology, Basic Medical College, Qingdao University of Medicine, 38 Dengzhou Road, Qingdao, 266021, PR China; Medical undergraduate, Qingdao University of Medicine, PR China. |
目的: 以前われわれが行った研究で、褐藻類から得られる複合硫酸化多糖であるフコイダンはマウス乳がん細胞においてβ-カテニンシグナル伝達の下方制御による抗がん作用を有することが示された。本研究では、ヒトのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞株およびラットの7,12-ジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)誘発乳がん発症実験におけるフコイダンの抗がん作用とともにその基礎分子メカニズムを調べる。 方法: in vitroでは、蛍光染色、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロット法によってヒト乳がん細胞MDA-MB-231におけるアポトーシスおよびタンパク質発現を分析した。in vivo介入実験は、DMBA誘発乳がんを有するSprague Dawley(SD)ラットで行った。腫瘍体積および重量を測定した。 結果: in vitroでは、フコイダン処置はMDA-MB-231細胞において増殖阻害とアポトーシスを誘導した。ウェスタンブロット法で、Cyt CおよびSmacの細胞質への放出とMDA-MB-231細胞内のカスパーゼ-3とカスパーゼ-9の活性化が検知された。フコイダンにより、AIFとEndoGのレベルが細胞質および核において有意に増加した。これらの結果は、フコイダンがカスパーゼ依存性およびカスパーゼ独立性アポトーシスを誘導することを示す。さらに、フコイダン処置はBid、Bcl-2、Bcl-xlの発現を下方制御し、Baxのレベルを上方制御した。in vivoでは、フコイダン補充は平均腫瘍重量を減少させた。 考察: in vivoおよびin vitro試験の結果は、フコイダンが乳がんにおいてp-PI3K、p-AKT、p-GSK-3β(Ser9)のレベルを減少させることを示した。β-カテニンのレベルも減少した。これらの結果から、フコイダンはPI3K/AKT/GSK3β経路を下方制御することによって、ヒト乳がん細胞MDA-MB-231およびラットでのDMBA誘発腫瘍を阻害しうることを示唆する。本研究はフコイダンの抗腫瘍作用のメカニズムを解明し、β-カテニンの調節に対するフコイダンの効果のメカニズムを明らかにする実験的証拠を提供する。 |
マウスでのPC12細胞における神経毒性と、認知機能障害に対する保護効果 2017年 Mar Drugs.誌 <PubMed №28300775:英文はコチラ> 執筆者: Wei H Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Gao Z Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Zheng L College of Integrative Medicine, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Zhang C Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Liu Z Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Yang Y Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Teng H Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Hou L College of Life Sciences, Liaoning Normal University, Dalian 116081, China. Yin Y Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. Zou X Department of Biotechnology, Dalian Medical University, Dalian 116044, China. |
アルツハイマー病(AD)は、高齢者において物忘れや認知力低下を起こす慢性神経変性疾患である。褐藻から抽出されたフコイダンは硫酸化複合多糖類であり、生物活性作用を持つ可能性がある。本研究では、フコイダンがβ-アミロイド25-35(Aβ25-35)とd-ガラクトース(d-Gal)の結合によって誘導されるアポトーシスからPC12細胞を守り、ADモデルマウスにおいて学習および記憶障害を改善するか否かを調べた。その結果、フコイダンは、ミトコンドリア由来のシトクロムcのサイトゾルへの放出およびカスパーゼの活性化を阻害し、Aβ25-35とd-Gal誘導により損傷したPC12細胞において、livinおよびX連鎖IAP(XIAP)をはじめとするアポトーシス阻害タンパク質(IAP)の発現を増強する可能性が示された。フコイダンはd-Gal注入によって誘導されたADモデルマウスにおいて、アセチルコリン(ACh)とコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の活性低下およびアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の活性増加を逆転させた。さらに、フコイダンは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とグルタチオン(GSH)の活性化によってin vitroとin vivoで抗酸化作用を高めた。こうした結果は、フコイダンがPC12細胞をアポトーシスから守るとともに、ADモデルマウスにおいて学習および記憶障害を改善することを示唆した。しかし、これはコリン作動系の調節、酸化ストレスの低減、カスパーゼ依存性アポトーシス経路の阻害によるものとおもわれる。 |
抗炎症効果と抗菌効果 2017年 Int Immunopharmacol. 誌 <PubMed №27987467:英文はコチラ> 執筆者: Park J Department of Bioactive Material Sciences and Research Center of Bioactive Materials, Chonbuk National University, Jeonju 54896, Republic of Korea. Cha JD Department of Oral Microbiology and Institute of Oral Bioscience, Chonbuk National University, Jeonju 54896, Republic of Korea; Department of Efficacy Research, Institute of Jinan Red Ginseng, Jinan 55442, Republic of Korea. Choi KM Department of Efficacy Research, Institute of Jinan Red Ginseng, Jinan 55442, Republic of Korea. Lee KY Department of Oral Microbiology and Institute of Oral Bioscience, Chonbuk National University, Jeonju 54896, Republic of Korea. Han KM Department of Pathology, Dongguk University Ilsan Hospital, Goyang 10326, Republic of Korea. Jang YS Department of Bioactive Material Sciences and Research Center of Bioactive Materials, Chonbuk National University, Jeonju 54896, Republic of Korea; Department of Molecular Biology and the Institute for Molecular Biology and Genetics, Chonbuk National University, Jeonju 54896, Republic of Korea. |
これまでの研究では、フコイダンのような抗菌および抗炎症作用を有する天然物に焦点が当てられてきた。腫瘍増殖、糖尿病、肥満、虚血再灌流、酸化ストレスに対するフコイダンの効果の評価は多くのin vivo研究で行われている。しかし、細菌誘発の歯肉炎や歯周炎に対するフコイダンの効果についての報告はまだない。我々は以前、フコイダンのin vitro抗炎症効果の特徴を明らかにした。本研究では、炎症仲介物質および炎症性サイトカインの発現抑制という点に関して、マクロファージ細胞株におけるフコイダンの抗炎症活性を確認した。さらに、我々は、ジンジバリス菌から調製したLPSを注射したマウスの歯肉組織内でフコイダンが歯肉の炎症、炎症性サイトカイン発現、好中球動員を阻害する能力を有することを確認した。しかし、興味深いことに、ジンジバリス菌に感染した歯周炎モデルマウスにおいてフコイダンは炎症性サイトカインの発現を阻害しなかった。さらに、歯周炎モデルにおいてフコイダン治療はジンジバリス菌の消失あるいはジンジバリス菌感染仲介による骨減少の改善はもたらさなかった。フコイダンはin vitroおよびin vivoで抗炎症効果を、in vivoでは限定的な抗菌効果を発揮するとの結論に至った。 |